Rakuten Tech Meetup#1 "事業に響くデータとAI" 開催レポート

2019年3月28日、「事業に響くデータとAI」というテーマで、Rakuten Tech Meetupを実施し、約80名の方にご参加頂きました。 アジェンダはこちらからご覧頂けます。 スライドも公開できる範囲ではありますが、公開致しました。リンクはページ下部に掲載しております。

当日レポート

最初に、楽天テクノロジーカンファレンス主催者の吉田彩奈より、本ミートアップの紹介をさせて頂きました。もっと楽天TECHがエンジニアコミュニティを盛り上げていきたいという思いや、ラウンドテーブルを取り入れて参加者参加型のイベントにしていきたいという思いを語りました。

さらに、今回のテーマはデータということで、意外と知られていない楽天サービスの数(70以上)や楽天メンバーシップの規模(世界13億人以上)など、概要の説明を致しました。

事業のリアル空間に描く、Design AI

続いて、フューチャー株式会社の貞光九月様からは、「事業のリアル空間に描く、Design AI」と題して、多種のビジネスと関わるAIコンサルティングの知見を共有頂きました。主に、他国と比べた日本のAI導入の課題や、リアル空間をデジタル空間に写像することで、これまでになかったAIの活用方法が生まれている事例を紹介いただきました。また、美容に特化した顔の診断AI等、数あるAI導入事例の中からピックアップしたものをデモして下さいました。

AIで顧客分析、景気までも予測可能

楽天技術研究所の梅田卓志さんからは、AIを駆使して、楽天市場ユーザーの中から、将来とある別サービスを使うことになるユーザーを予測するために使う学習モデルの入力属性、実際のテスト結果などを紹介しました。さらに、楽天市場のデータを用いて、ユーザの動向だけでなく、景気の善し悪しが推定できるとの研究もあり、機械学習の多様な応用性を示唆するトークでした。

kubernetesを用いた機械学習基盤改善

楽天データサイエンス部のチンツーリンさんからは、機械学習基盤をkubernetesを使用して新たに構築する話がありました。従来のバッチサーバーでは事業及びデータサイエンス部の要件に柔軟に対応することが難しく、時間が経つにつれ技術負債にも繋がる現状を改善する試みになります。ただし、一長一短もあり、コンテナ化による環境構築の利便性や再現性が向上するものの、不足する機能があるなど今後の課題もある等、技術面にフォーカスした現場の事情を聞くことができました。

AIで不正検知、実装法にも工夫を

楽天ペイメントシステム部の友田恭輔さんは、機械学習を使って不正検知を行うことをされています。その際の機械学習の導入にあたり特にフィンテック業界で注視せねばならない数ある事項の中から、拡張性を保証して、想定外の状況に対応しやすくするための実装方法を詳しく紹介いただきました。

ビジネスマンタイプを予測、データビジュアライゼーションも

Sansan株式会社の西田貴紀様からは、ビジネスの出会いの価値を最大化する機能として、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」にβ版機能として搭載されている「Sansan Labs」を紹介していただきました。Sansan Labsの一つである「ビジネスマンタイプ分析」について、社員の名刺交換の傾向からビジネスマンの強みを数値化するアルゴリズムを解説。 さらに、企業間のつながりの中から、イノベーションを導く潜在的なつながりを可視化するデータビジュアライゼーション「Dawn of Innovation」(※)を紹介しました。 DSOC R&D Groupのミッションである「出会いの未来を描く」にふさわしいトークでした。 (※本ビジュアライゼーションの制作・分析に当たっては、Eightのデータについて個人を匿名化し、Eightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用。本データビジュアライゼーション上では、個人名や特定の会社名は表示されない。)

広告クリエイティブ選定ロジックの改善、リリース前にオフライン評価

株式会社サイバーエージェントの藤田光明様からは、アドテクの裏で動く広告オークションの効果や運用予算を最適化する機械学習や、クリエイティブを選定しクリック率を最大化するアルゴリズムをABテストしていた場合、どういう結果になっていたかをリリース前にオフラインで評価する工夫などを紹介いただきました。

需要予測により、タクシー運行を最適化

株式会社ディー・エヌ・エーの益子遼介様からは、ディー・エヌ・エーの提供する多様なサービスの中、対戦ゲームAIやアニメの自動生成技術の紹介を始めとして、タクシー配車アプリで研究開発中の、顧客獲得率を予測する機械学習がどのように動いているかの話をされていました。

グラフィックレコーダーを交えたテーマ別ディスカッション

最後に、楽天のグラフィックレコーダー3名に参加してもらい、3つのグループで懇親会及び、テーマ別ディスカッションを行いました。グラフィックレコーダーが議事録をインフォグラフィック化するという試みを交え、現場目線で奥深いディスカッションが行われました。話が進むにつれ、みるみるインフォグラフィックが完成していく様は傍で見ていて、とても興味深かったです。内容は、オンプレvsクラウド、技術者と事業の距離感、現場でのコミュニケーション、ユーザーエクスペリエンスの意外な重要性、データガバナンス問題、開発の苦労話諸々等、新鮮な情報がぎっしり詰まった物になっていました。

今回は「事業」というキーワードをテーマに入れていたこともあり、エンジニアだけではなく事業側の方々にもたくさんご参加頂き、エンジニア同士もエンジニアと事業側もたくさんの議論を交わすことができました。まさに楽天のエンジニアが日々事業側に寄り添って開発を進めていこうとしている姿勢が反映できたのではないかと思っております。

次回はまた新たなテーマで6,7月頃の開催を予定しております。お楽しみに。

<公開発表資料>
Sansan株式会社 西田様
https://speakerdeck.com/sansanbuildersbox/rakuten-tech-conference-sansan
株式会社サイバーエージェント 藤田様
https://speakerdeck.com/ko_fujita1/adotekuniokerubandit-algorithmfalsehuo-yong
株式会社ディー・エヌ・エー 益子様
https://speakerdeck.com/soymsk/data-driven-service-in-taxi-hiring-app-mov
楽天株式会社
https://www.slideshare.net/rakutentech/ss-144707059
https://www.slideshare.net/rakutentech/ss-144707347
https://www.slideshare.net/rakutentech/kubernetes-144707493